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管理人『ふくろう』の書評。小説から漫画まで。
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説明不要の名作。
川端康成の初期の名作。

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伊豆の踊子 (新潮文庫)


名作には、名作たる所以がある。この作品は川端康成の魅力が詰まってると言っても過言ではない。
叙情的で、まるで短歌のような淡く繊細な描写は、描こうと思っても描けるものではない。
川端康成この人でないと作れないような、独特で、それでいて明解な表現。


私は、初見の時に
『あぁ、日本語って美しいんだな。』
と深く深く感じたことを覚えています。

本当に素晴らしい。



容量的にも、90ページほどの短編で、読みやすい。
にもかかわらず、この本の情報量は素晴らしい。
文節が、人間の本能や内面に話しかけてくる。
それは男と女という主題であったり、片想いという主題だったり…。
性を介した心の中、とでも言おうかしら。

主人公と旅の一座の踊り子の、甘酸っぱい(という表現もはばかれるような繊細なものだけれど)話。


『名作には、名作であり続ける理由がある。』



本書には他にも川端康成の短編が二編入っている。
川端康成に興味がある方には、入り口として最適かと。

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時雨沢恵一の小説です。

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キノの旅―The beautiful world (電撃文庫 (0461))



電撃文庫という、どちらか青少年向けのノベルなのですが、
内容はとても良い。
文章はとてもしっかりとしているし、挿絵も美しい。
登場人物も個性的で魅力的で、ストーリーもしっかりと根を持った太いものとなっている。


この方の文章は惹かれるんですよね。
きちんとしたリズム感がある。そして言葉遊びが面白い。
電撃文庫の中でも、このようなきちんとしつつ味のある文章は珍しい。


主人公キノの謎めいた魅力と、どうしてか喋ることの出来るモトラド、エルメス。
彼らの…彼女らの?旅の道中で出逢った人々は、醜くて、美しい。


表紙はどこかあどけない、買うのを躊躇してしまうようなイラストなのだけれど
どこか愁いを帯びた言い回しの文章とメタファーに包まれた、深くて、澄んだ物語は珠玉です。

説明不要の名作。
東野圭吾さんの本ですね。


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探偵ガリレオ (文春文庫)





ドラマで有名なこの作品ですが、原作もそれはそれは魅力的な作品です。
なによりも、東野圭吾さんの文章というのは読みやすい。
癖もなく、これこそ小説!というような、簡潔で、情景が浮かび易い文章。

本書は五章からなる短編集。刑事である草薙と、天才物理学者の湯川学による事件簿。
その内容は複雑で難解。それでも読みやすく解りやすいのはさすがは東野圭吾というところ。


シリーズの第一作目であるこの作品は、ドラマから知った方でも読みやすいのではないだろうか。
というのも、この短編五編はどれもドラマでも使われた話なのだ。
しかも、原作とは『少し違う』。そこが魅力的な部分であろう。

ドラマで出てきた人物が出てこなかったり、ドラマではさほど描写されてない部分が、東野圭吾の手で鮮やかに描写されていたりする。

推理ものが苦手な方でも十分に楽しめる一冊なのではないだろうか。



十二分な知識と確証に裏付けされたトリックには脱毛です。
なるほどねぇ…。と溜め息をつきたくなるほど。

単純に、とても面白い小説です。

池袋ウェストゲートパークシリーズの第四弾。
電子の星。

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電子の星 池袋ウエストゲートパークIV (文春文庫)




以前にも紹介した本ですが、どうしてもこの話を紹介したくて。
本書も短編集なのですが、その2つ目。

『ワルツ・フォー・ベビー』

という短編があるのですが、その話がすごく
すごく魅力的。



私はウェストゲートパークシリーズの中で一番好きでして、未だに急に読みたくなってしまうような、魅力に溢れた作品です。

内容としては、主人公であるマコトがあった一人の男性のお話。
マコトはその男性の過去に疑問を抱き、調べようと奔走するのですが、その真相は…。


とにかく『切ない』の一言。
切ないながら、温かくて、人間って馬鹿だなと笑ってしまうようなお話。



真実が明らかになった時は、とにかく

どうして…。

が止まらなくなり、涙があふれてきます。



マコトとその男性の、不思議で魅力的な関係性にも注目です。

小川糸さんの小説。
映画化もされましたね。

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食堂かたつむり




恋人に家財道具一式を持ち逃げされ、ショックから声を失った主人公『倫子』
彼女は故郷に帰って食堂を開くのですが…。

という内容。

内容を書いてしまうとネタバレになるのですが、やはり最後の場面が一番心に残るかと…。
映画と原作の内容はほぼ同じなのですけれど、やはり原作のほうが深みがあるような気がします。

主人公と母親の関係。
食堂のお客さんのお話。
主人公のペットのお話。


深みがあるというか、シンプルで面白い。
あまり活字を読まない方にもおすすめかもしれません。


映画と原作の最大の違いは、料理のシーン。
原作の本書は、料理のシーンがとても繊細に描写してあり、それがこの作品の最大の魅力と言っても良いのではないかと。

文章を読んでいるだけでお腹が鳴るような、美味しそうで愛情たっぷりの料理シーンが、作り手の視点から鮮やかに描かれています。

そしてそしてペットの豚さん。


続きは本書で…。

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